いびき・睡眠時無呼吸症候群

いびきとは

いびきとはいびきとは、狭くなった気道を空気が通過する際に粘膜が振動して生じる音です。 いびきの音で目が覚めてしまうこともあれば、「いびきがうるさい」と周囲の人に迷惑をかけてしまうこともあります。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とは気道の空気の流れが10秒以上停止することを「無呼吸」と言い、通常の呼吸の50%以下となる呼吸を「低呼吸」といいます。この無呼吸・低呼吸が睡眠中に何度も繰り返され、睡眠の質を低下させるのが「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」です。
日常生活にさまざまな悪影響を及ぼすだけでなく、合併症のリスクが潜んでいます。

日常生活や体への影響

いびきの音だけなら、周囲の人がうるさいと思うぐらいで体への影響は少ないと言われています。ただ、いびきの音が大きいと熟眠感を得ることができない場合もあります。いびきが大きくなり、寝ている間に息が止まる(睡眠時無呼吸症候群)呼吸が弱くなる(低呼吸:通常の呼吸の50%以下)と様々な影響が出てきます。

日常生活への悪影響

日常生活への悪影響夜間の覚醒により睡眠の質が低下し、日中の集中力が低下したり、突然我慢できないほどに眠くなったりといったことが起こります。ご本人は「睡眠時間はちゃんと確保できているはずだ」と認識している場合が多く、このことが受診・治療を遅らせることにもつながっています。
特に車の運転をされる方、危険作業に従事される方は、ふとした眠気が大きな事故につながるおそれがあるので注意が必応です。

合併症のリスク

高血圧

無呼吸の合併症として突出して多く見られるのが、高血圧です。
睡眠時の無呼吸に陥ると、脳が呼吸の再開を促し、正常呼吸へと戻ります。この一連の流れの中で交感神経が刺激され、無自覚の興奮状態に陥ります。一晩に何度も繰り返されることで、結果として血圧が上昇してしまいます。
高血圧の方の8割以上が、睡眠時無呼吸症候群を併発していることが分かっています。

糖尿病

睡眠時無呼吸症候群の方は、糖尿病のリスクが4倍にもなります。直接的な因果関係は未だはっきり分かっていませんが、睡眠時の無呼吸と正常呼吸の繰り返しにより、体内での糖の代謝が阻害されるためではないか、と言われています。

心疾患

心疾患、つまり心臓疾患の合併症です。睡眠時に無呼吸と正常呼吸が繰り返される過程で、微細な血管障害が生じます(虚血再灌流)。高血圧で動脈硬化の進んだ血管でこの障害が生じることで、狭心症・心筋梗塞のリスクが上昇します。
重度の睡眠時無呼吸症候群の方は、健康な人と比べて、不整脈の発生の頻度が4倍にもなることが確認されています。

脳卒中・脳梗塞

心疾患と同様の理由により、脳の血管にも悪影響を及ぼします。
重度の睡眠時無呼吸症候群の方は、脳卒中・脳梗塞を併発するリスクが3.3倍にもなることが分かっています。
併発してしまうと、日中の集中力・認知能力が低下した状態で、脳卒中・脳梗塞のリハビリにも取り組まねばならない過酷な状況に陥ります。
そういったこともあってか、睡眠時無呼吸症候群と脳卒中を併発した場合は、併発していない場合よりも1年後の死亡率が高くなっています。

うつ病

無呼吸による夜間の覚醒反応が自律神経のバランスを乱し、自律神経失調症、うつ病へと進展してしまうことがあります。

いびき・睡眠時無呼吸症候群の原因は?

いびきや睡眠時無呼吸症候群は、上気道が狭くなることで起こります。
顔・顎の骨による硬い組織の枠組みがあり、その中に粘膜・脂肪・筋肉による軟らかい組織があり、あとの残りの空間が空気の通る「上気道」です。
硬い組織と軟らかい組織によって上気道の形態が保持されている、つまり空気の通り道が確保されていますので、それらの組織に異常が起こることで上気道が狭くなることがあります。
ほとんどの場合、以下でご説明する原因が複数以上重なり合って上気道が狭くなり、いびきや無呼吸といった症状が現れます。

鼻の病気

鼻詰まりを起こす病気が、いびきや無呼吸の原因になることがあります。鼻中隔弯曲症、肥厚性鼻炎、アレルギー性鼻炎、鼻茸(鼻ポリープ)などが代表的なものです。鼻が詰まることで、口呼吸となります。口を開けて寝てしまうと下顎が後下方へ移動し、舌が喉に落ち込みます。結果、上気道が狭まり、いびき・無呼吸のリスクが上昇します。
口呼吸の方は鼻詰まりに気づきにくい

小さい頃から無意識に口呼吸をしている方は、長くその状態で過ごしてきたため、鼻詰まりに気づけないケースが見られます。
起床時に口内が乾燥している、喉の上の方がヒリヒリするという場合には、夜間も口呼吸になっている可能性があります。いびき・無呼吸のリスクを伴うため、一度検査を受けられることをお勧めします。

喉の病気

アデノイド肥大、扁桃肥大によって、上気道が狭くなることがあります。お子様に多い傾向がありますが、成人の方にも見られます。
鼻・喉から侵入したウイルス・細菌などの外敵から守ってくれるのがアデノイドや扁桃です。発達して大きくなり過ぎると、上気道が狭まり、いびき・無呼吸を引き起こすことがあります。
その他、口蓋垂と呼ばれる喉の奥のひだが長い、軟口蓋(口蓋垂の上部)と呼ばれるひだが下垂している場合にも、空気の通りが阻害され、いびき・無呼吸の原因となります。

肥満

体重が増加して肥満になると、上気道を囲う粘膜にも脂肪が蓄えられ、厚くなります。上気道が狭まり、いびき・無呼吸のリスクが上昇します。

閉経後の女性ホルモンの減少

閉経後、女性の体内では女性ホルモンの量が急激に減少します。中でもプロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンは、上気道を広げる筋肉を維持する役割を果たしているため、その減少によって上気道が狭くなることがあります。

顎顔面の骨格異常

顔面の中でも、特に顎の骨の形態の異常によって、上気道が狭くなることがあります。
日本人やアジア人は顔が平たく、横から見たときに顔の前端から後端が比較的短く、上気道も狭くなる傾向にあります。
下顎が小さい「小顎症」の場合も、喉の径が小さくなり、また舌が正しい位置に収まらずに後退するため、上気道が狭まります。

当院で行ういびき・睡眠時無呼吸症候群の治療法

いびき・睡眠時無呼吸症候群の3つの治療法いびきや睡眠時無呼吸症候群の治療としては、以下のようなものが挙げられます。
ただし、いずれの治療を受ける場合でも、「規則正しい生活と肥満の解消」が前提にあります。
生活リズムが乱れていた方は、規則正しい生活へと改善し、まずは「決まった時間に眠くなる身体」へと戻すことに努めてください。そして、バランスの良い食事と適度な運動によって、肥満を解消しましょう。

マウスピース治療

就寝時にマウスピースを装着することで、気道の閉塞・狭窄の防止、いびきの解消が可能です。
主に軽度から中等症の睡眠時無呼吸症候群に対して行われます。

CPAP療法

CPAP(持続陽圧呼吸療法装置)療法では、装置から延びたマスクを睡眠時に着用し、気道に空気を送り続けることで無呼吸を防止します。CPAPの装置は一式レンタルが可能で、ご自宅で治療に取り組んでいただけます。
主に重症の睡眠時無呼吸症候群に対して行われます。

気道確保(ナステント)

ナステントは、気道の閉塞・狭窄を防ぎ、正常呼吸を補助するチューブ状の医療機器です。
就寝前に鼻から挿入して使用します。
やわらかいシリコン素材でできており、ジェルが塗布してありますが、違和感を強く感じる方もいらっしゃいます。
肥満や扁桃肥大を原因とする睡眠時無呼吸の対症療法・予防として有効です。

ナステントについて
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手術

手術睡眠時無呼吸症候群は、複数の要因が重なって起こることがあります。
鼻中隔の弯曲、下鼻甲介の肥大、鼻腔粘膜の腫れなどがその要因の一つとなっている場合、それぞれ「鼻中隔矯正術」「下鼻甲介手術」「下甲介粘膜焼灼術」といった手術によって鼻の通りを良くすることも有効です。

鼻中隔矯正術について
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下鼻甲介手術について
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下甲介粘膜焼灼術について
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その他

仰向けに寝ると上気道は狭くなるため、横をむいて寝るのも有効です。しかし無意識下の体勢をコントロールするのは、なかなか難しいものです。一つの工夫として、タオルなどを棒状にして背中の真ん中にいれると体は上を向かず、横を向きやすくなるため、いびきが軽減するかもしれません。
また、小児の場合は正しい位置へ顎骨の発育を誘導したり、歯列矯正治療を行うことで上気道が狭くなるのを予防ができる可能性があり、歯科・口腔外科でその試みが行われているようです。

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