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2019.10.11

2019年日本鼻科学会へ出席してきました。

第58回日本鼻科学会学術講演会

2019/10/3-5

東京:都市センターホテル

 

今年も鼻科学会へ出席してきました。鼻科学を専門にしている者が集まる学術集会です。今年は日本医大が主催され、東京で開催されました。

秋のはずが、まだまだ暑い日が続いており、ラグビーワールドカップは日本が躍進を魅せて日本中が熱狂しています。

 

さて、初日は今アレルギー界をにぎわしている抗体療法の話からでした。好酸球性副鼻腔炎は難治性疾患で、手術をしても再発してくることが多いです。喘息を合併していることがおおく、いづれも好酸球性炎症が原因だろうと考えられていましたが、他にも原因となる因子があるかもしれないという講演でした。大阪医大の神人先生は、重症喘息の患者に対してIL-5抗体を投与し、好酸球数の著明な抑制と喘息の良好なコントロールを得られたが好酸球性副鼻腔炎はよくならず、手術後も再発をきたしたと報告されました。こういったことが起こる原因の詳細ははっきりとしていませんが、抗体療法を使っていくことで新たな知見が今後でてくるかもしれません。他にも抗体療法を好酸球性副鼻腔炎の演題が増えてきているように思います。

 

また、私の母校である関西医科大学の小林先生は好酸球性副鼻腔炎に対する経鼻呼出療法の現状と課題について講演されました。先ほども述べましたが好酸球性副鼻腔炎と喘息はよく似た範疇のカテゴリーの疾患ととらえ(one airway one diseaseと呼ばれています)、鼻も喘息も一緒に治療できる画期的な治療方法です。ただ、重症喘息の患者の中にはステロイドの効果が低い場合があり、その際はβ刺激薬が混合しているLABAが有効であったとのことでした。これはクリニックレベルで実践できる治療ですので当院でも積極的に行っていきたいと思っています。

 

昼はお弁当をいただきながら松脇クリニックの松脇先生から短期滞在手術についての講演を拝聴しました。日帰りもしくは1泊2日で行う際のマネージメントや注意事項を説明されておりました。当院で行っている日帰り手術も、そのシステムを少しブラッシュアップできればと思いました。

 

昼からはAIロボットと医療倫理という題名で東京理科大学の大和田先生から講演がありました。AIが注目されて医療界にどのように応用しているのかの実例を呈示されていました。解析の詳細も講演されておりましたが、残念ながら素人の私にはわかりにくい内容もありました。クリニックもAIを導入してよりよい医療を提供できればと思い、今後は医工連携を考えたいと思います。

 

今回はとても興味深い、「数学と医療」という講演が東京大学の合原先生が講演されました。実は私は中学から高校まで数学が好きで、一度は数学の道に進もうかと考えたこともありました。数理工学では、問題を数式にする、つまり数理モデリングにするそうです。合原先生は非線形である2次関数を用いてドレスを作成されており、とてもユニークな先生でした。モデル化の内容は拝聴してもよくわかりませんでしたが、バイオマーカーの研究やAIと人間のコラボなどに焦点をあてて講演されました。今後AIが医療に入ってくるのを実感できる講演内容でした。

 

2日目は川島先生による小児患者に対するダニ舌下免疫療法についての講演を拝聴しました。明らかにアレルギー疾患が増加してきていますが、免疫療法の歴史、そのメリットを文献から解説しておられました。私個人としても、免疫療法は小児にとっては計り知れないメリットがあると考えています。今後も当院で継続していきたいと思います。

 

慈恵医大の飯村先生は鼻中隔湾曲症の対する分類についてご発表されていました。鼻中隔湾曲症といってもいろいろなタイプがあり、すべて同一の術式で行うことはよくないと示唆した発表でした。皮膚切開を加えるopen法、鼻内のみでおこなうclosed法から、鼻中隔の前の弯曲を治す方法など様々な術式がありますが、どの術式を選択すればよいのか、形態から分類されていました。しかし保険診療ではこれらの手術はすべて「鼻中隔手術」のひとくくりになっているため、今後の改正に期待したいところです。

 

3日目は中川先生による頭蓋底手術、大村先生によるDALMA法、中尾先生によるextracorporeal septoplasty、そして児玉先生によるseptorhinoplastyについてのご講演がありました。クリニックでは頭蓋底手術はしませんので、こういった拡大手術を積極的にしている先生方はすごいなと思います。他の手術手技は日帰り手術でも取り入れることのできる技術ですので、参考にして自らの手技を改良していければと思います。

 

その後DCRについての講演、鼻中隔矯正についての講演を拝聴し、「鼻中隔湾曲症が外鼻形態へ及ぼす影響についての検討」という演題で発表させていただきました。座長の先生やフロアの先生からもいくつかご質問をいただきました。鼻中隔矯正と外鼻の関係をこれからも検証していきたいと思います。

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